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松本市建設部・松本市建設事業協同組合 災害時の対応に係る合同防災研修会に参加して(平成27年8月25日)

  1. 松本市はフオッサマグマ内にあり、糸魚川静岡構造線や牛伏寺断層などが市内を縦断しており、今後30年以内にマグニチュード7.6程度の地震の発生確率が13~30%と予想され、直下型震災への的確な対応が求められています。
  2. このため、松本市の地域防災計画の中で、行政と松本市建設事業協同組合は災害協定を結び、災害対策本部の要請に応じ、組合は緊急輸送路及び幹線道路の通行確保のための障害物除去を速やかに実施することにしており、その際の行政側の担当部署は建設部となっています。
  3. 協定をより有効にするために、同じ直下型地震の阪神・淡路大震災の体験者である神戸市から、震災直後の対応や、今後の防災訓練のあり方について意見を聞き、両者で実務に沿った作業体制づくりに向け、話し合いのテーブル構築のスタートのきっかけにしたいとの意向を受け、神戸防災技術者の会から2名が派遣されました。
  4. 合同研修会には協同組合の災害危機対策委員会の委員を中心に会員40名、市建設部職員30名の合計70名、そして地元新聞社2社も参加して開催されました。
  5. 1依頼された事項は①行政と組合、建設会社との災害時の体制や打合せ状況、②事前に締結した災害時の体制がどう貢献したか、③初動体制や作業手順の進め方、④その他被災建物の応急対応などでした。
  6. それに対して、行政側は協定団体に対して、道路内障害物の撤去や被災建物除却や復旧事業など建設業界の専門とする事項のみに限らず、多くの被災者支援のために多岐にわたる無理な事項、たとえば建設知識を生かし倒壊家屋の下敷きになった人の救出、遺体の搬送、救援物資の運搬、引っ越し支援、被災建物の雨漏り防止のためにブルーシートの手配や取り付けなど、想像を絶する要望を受け入れていただいたことで震災を乗り切れたことを報告しました。
  7.  このような災害時に無理なお願いが出来る官民連携を深めるために、両者合同での工事現場の安全点検、共催での防災研修会や子供たちへの建設業のPRなどの開催を行っていたことからで、日頃から顔が見える関係づくりを活動の中に取り入れていただきたいと強調しました。
  8.  そして、阪神から20年を経過する中で、契約手続きの改変要求、事業量縮小、機器のリース方式など社会的変化の有る中で、阪神の体験が全てでは無く、新たな官民連携の在り方を研究する必要性も提案しました。
  9.  また、多くの住宅被災の中、自力再建を支援するため平成7年6月から平成10年3月まで、地元工務店等の協力をえて復興住宅メッセ(総合相談会場)を設けたこと、そしてこれが後に、現在の「すまいるネット(神戸市すまいとまちの安心支援センター)」に続いていることなどを説明もしました。
  10.  最後に、震災被災者を一人でも少なし、被災後の繁忙を防ぐために、業界の専門性を活かし、行政と協働で住宅の耐震診断や耐震補強のためのシステムをつくり、減災社会の実現を目指した活動も加えていただきたいと要望をし、話を終えました。
  11.  講演後の意見交換では、震災後の多くの業務はマスコミで伝わる内容以上であった、今後官民連携の在り方の示唆を受けた、震災後の職員はどのような毎日であったのか、勤務体制はどのようなものかなど、意見や質問がありました。
  12. 結びとして、組合の会長から行政と業界が、常日頃から顔の見える関係を作り、災害への事前の備えを構築しようとの意見表明がなされ、研修会は終了しました

 

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海南市地域防災計画策定改定作業の検討部会に参加して(平成26年5月19日~6月9日)

海南市においては、南海トラフに起因する巨大地震の発生予測や被害想定が一昨年8月に発表されて以後、これまでの形式的に作成した地域防災計画だけでは対応できないということから、京都大学防災研究所の牧 紀男教授などの指導の下、職員全員が参加して実効性のある地域防災計画を策定しようと庁内に「災害対策検討部会」を構成して、 講演会や課題共有のためのワークショップ、図上訓練や実働訓練など平成25年度から2か年計画で取り組まれています。 計画策定にあたり、平成21年にK-TECの会員4名が2日間にわたり職員全員に阪神・淡路大震災の対応を講演した経緯もあったことから、再度K-TECに協力依頼があり、担当者と改定作業の進め方について数度の協議をしてきました。 改定作業の一環として、多くの学識経験者の意見を取り入れ、被災時設置される災害対策本部に所属する災害救助部や都市整備部、水道部など7つの部に加えて、それらを有機的に繋ぐ避難所管理や生活再建など4つのプロジェクトチームが作られ、各部ごとに具体的な対応を学び、計画に反映する勉強会が平成26年5~6月に開催されました。
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このうち、災害救助部、都市整備部、水道部、避難所運営・生活再建プロジェクトの5回の部会にK-TECメンバーが参加しました。 部会は大学の先生など学識経験者の法的な位置づけの講演に続き続き、K-TECメンバーが阪神・淡路大震災時の体験に基づく実態を踏まえ、出来た事・出来なかったことに加え備えとして考えていただきたい課題など、そして東日本大震災の被災地支援で得た教訓を皆さんに継承・発信しました。 その後、各部の部長さんから担当者まで幅広い層の職員によるワークショップがなされ、 災害時の状況を共有されるとともに、私たちへの質問がありました。学識経験者と実務者側からの回答に今後大切なことを少しでもご理解いただけたと思っています。
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ここ数十年大災害に被災していない海南市とお聞きしました中で、危機管理意識を職員全員が持とうとするこのような取り組みは全国でも事例は無いと思いますし、立場を超えてフランクに課題を議論される参加者の皆さんの 熱意に私たちは多少なりともお手伝いでき、南海地震など自然災害による被害の事前防止と、万一被災した時、市民を守る地域防災計画が作成されると信じる災害対策部会でした。 (文責 N.K)