福島県相馬市立向陽中学校 修学旅行生に震災遺構を案内して

■はじめに

K-TECの伝承活動の一環として、福島県相馬市立向陽中学校の修学旅行生133名(2年生4クラス)を受け入れ、防災学習として阪神・淡路大震災の震災遺構である「慰霊と復興のモニュメント」「1.17希望の灯り」や「神戸港震災メモリアルパーク」などの案内を行いました。

これは継続的に修学旅行生の誘致を行うにあたっての、はじめの一歩となる一日でした。

主に案内を行った場所は以下の通りです。1.17希望の灯り

①慰霊と復興のモニュメント

②1.17希望の灯り

③神戸港震災メモリアルパーク

その他、下記についての説明も写真等を用いて行いました。

①1.17のつどい ― 犠牲者の追悼と、震災で培われた「絆・支え合う心」「やさしさ・思いやり」の大切さを次世代に語り継ぐ行事image002

②神戸ルミナリエ ― 犠牲者の鎮魂と復興を願う光の祭典で震災のあった年の12月から毎年開催

③市役所2号館 ― 震災で中間層が破壊されており、建物の耐震性や補強の大切さを伝える

④旧居留地 ― 神戸港発展の歴史を伝え、戦争の機銃掃射の跡や、復興の様子を伝える

⑤フィッシュダンス ― 開港120年を記念して造られた巨大な鯉のオブジェ。鯉川の川尻に当たり、鯉が踊る姿がモチーフ。

⑥ポートタワー ― 神戸を俯瞰する展望施設で、神戸の産業を活かして制作した施設

⑦浜手バイパス ― 震災で被災した橋梁から、耐震性と補強の大切さを伝える

⑧津波対応水門 ― まちを津波から守る水門の意味と、締め切りの大切さや締め方などを伝える

 

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■東遊園地にて

慰霊と復興のモニュメントでは、建設のコンセプトや、犠牲者の鎮魂と復興を願う市民の寄付により建設費を賄った経緯などを説明しました。特に地下の瞑想空間では、約5,000名の銘板を前に圧倒される生徒さんの姿が印象的でした。

1.17希望の灯りでは、慰霊と復興のモニュメントと共通する事柄のほか、東日本大震災の被災地にも分灯していること等を説明しました。生徒さんたちが通う中学校からも程近い福島県南相馬市にも分灯を行っていることを伝えると、驚きの表情を見せる生徒さんや、既にご存じで実物を見たという引率の先生もいらっしゃいました。

このほか、1.17のつどいや神戸ルミナリエについても説明しましたが、私たちが考えていたよりも認知されていない様子で、私たちの発信不足を反省する場面もありました。今後説明を行う際には気を付けたいポイントでもあります。

 

■バス移動にて

市役所2号館で中間層の崩壊があったことから、耐震性の大切さや備えの必要性を伝えたほか、旧居留地の成り立ちなどについても説明を行いました。バス移動の時間は限られており、説明の対象となるものを視認することも難しい状況であったため、写真を配布するなどの工夫が必要であると思われました。

 

■神戸港震災メモリアルパークにて

神戸港震災メモリアルパークでは、展示と遺構についてそれぞれ説明を行いました。神戸市において港が果たしてきた役割や、被害の状況、復興までの経緯などが話の要点です。東日本大震災では津波により沿岸部の構造物が破壊された印象が強く残りますが、直下型地震であった阪神・淡路大震災の場合の、違った破壊形式による構造物の損傷があったことなども伝えました。展示では映像で震災当時の状況を見ることもできるため、熱心に見入っている生徒さんも多くいました。

 

■全体を通して

今回の受け入れ対象者が東日本大震災の影響を受けた地域に住む中学生だったこともあり、多くの生徒さんが熱心に説明を聞いてくれました。また、団体行動についても、円滑に移動等が行われ、タイムスケジュール通りに進行することができました。

説明者としては、復興したまちを見ながら、当時の状況について、いかにリアリティを伴って感じてもらうかという難しさを痛感しました。また、説明の際の写真の見せ方など、今後工夫が必要となる課題も見つかりました。

今回は、私たちの案内の前に「人と防災未来センター」で語り部さんの講話や震災遺物の視察、そして震災遺構視察後、「NPO ふたば」による避難所体験が行われており、K-TECの今回の「震災遺構を視て」や自然災害対応を「聴いて」、ワークショップによる「備え」のあり方などの防災学習の連携と差別化のついても研究していく必要を感じました。

 

■今後に向けて

今回明らかになった課題を解消し、さらにクオリティを高めていけるように取り組みたいと思います。また、震災からの復興で得た経験の継承に加え、神戸の魅力を発信する機会にもできるよう、取り組みを進めて参ります。

 

(文責N.S.)


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