「平成30年7月豪雨による倉敷市被災地調査」を振り返って

 平成31年2月8日(金)と9日(土)に、昨年の西日本豪雨により河川堤防が決壊して、約6,000戸が浸水した倉敷市真備町の被災地調査を行いました。東日本大震災の復興支援のため大槌町で従事していたK-TECメンバーと同じ部署であった倉敷市役所の方々にお世話になり10名で訪問しました。

 初日は業務でご多忙の中、また2日目は土曜日にもかかわらず我々に同行していただくなど、大変お世話になりました。

 初日の午前中にレンタカーで現地視察をしました。河川破堤箇所における災害復旧工事、避難場所や仮設住宅などについて、現地で説明していただきました。国直轄の大規模な災害復旧工事や小田川の高梁川合流地点の下流側への付け替え工事などが迅速に進められており、確実に河川の安全性が高められていることを目の当たりにしました。 一方、小田川へ流入している県管理の河川では、ブルーシートなどによる応急復旧のみで留まっている箇所が見受けられ、対応の温度差が顕在化しておりました。過去から真備町が数度水害を受けていることや、昨今の降雨量が増加してきていることなどを勘案すれば、今年の梅雨までに本復旧工事の完了が望まれます。

 被災区域が限定されていることから全体数としてはみなし仮設が多いのですが、通常のプレハブにおいても木造の仮設住宅に加えて、51戸のトレーラーハウスを35日という短期間で提供できたという説明が印象的でした。

 また、初日の午後には、私共から事前に送付させていただいた質問事項に対して、8部署からご丁寧な回答を頂きました。なお、復興計画案が当日に記者発表されており、非常にタイムリーな訪問となりました。

 2日目にはボランティアセンターを訪問し、意見交換をさせていただきました。発災直後の最初の日曜日(7月15日)には、2,000人を超えるボランティアが登録されており、当初は混乱もあったそうですが、倉敷市社会福祉協議会が窓口になって的確な運営がなされていました。例えば、WEB申し込みや前日にニーズとシーズのマッチングを行うなど、ボランティア元年といわれている阪神・淡路大震災の時と対比すれば、システマティックな運営を垣間見ることができました。

 しかし、神戸市の場合と異なり、市社協職員に市役所職員がいないことも起因しているかもしれませんが、情報の共有という面では少し課題がありました。公費解体期限が延長されることになったという情報はまったく聞かされておらず新聞で初めて知ったという様に、倉敷市役所内部でも情報の共有の課題があることがわかりました。イントラネットの活用など工夫が必要ではないでしょうか。

 今回訪問させていただいた真備町は吉備真備公ゆかりの地であり、関係者の英知を集結して、1日も早い復旧および復興が完遂されることを祈念しています。そのためにも、今後も意見交換を継続していきたいと思っております。

神戸防災技術者の会 水口 和彦


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